驚くべき反応ですわ

Anomalous Reactivity of Silylborane: Transition-Metal-Free Boryl Substitution of Aryl, Alkenyl, and Alkyl Halides with Silylborane/Alkoxy Base Systems
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja309578k

  • 要約


シリルボランに有機ハロゲン化合物を塩基存在下反応させるとハロゲン-ホウ素置換反応が進行する,という論文.塩基はKOMe,溶媒はDME,ハロゲンはBrが好適の模様.室温付近で進行する.芳香族・脂肪族ハロゲン化物共に反応が進行する.形式的にハロゲン化アリールに対するホウ素アニオンの求核置換反応とみなせるが,メカニズムについての確固たる情報はない.Pdをはじめとする遷移金属が系中に存在しないことを確かめていることから,いわゆる”カップリング反応”ではない模様.また,ラジカル反応でもないことが確認されている.もし芳香族求核置換で進行していることになれば,これは非常に驚くべき反応といえよう.

  • メモ

シリルボランと塩基からアート作って求電子剤と反応させる,ってのは最近良く見かけてた.例えば http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja203031a.けれども,どの論文も確かシラン側で優先に反応しC−Si結合を作るって話ばかりで,今回のホウ素側での反応ってのは珍しいんじゃなかろうかな?非常に驚いた.メカニズムが気になります.5配位シリカートなのかなぁ?